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「あづい」
うざったいくらいにじりじりと照りつける太陽の下。俺こと雨木誠(あまぎまこと)は山登りにきていた。
「誠、弱音吐かないの!」
隣にいた女の子が俺に言う。肩につくくらいの髪を赤いリボンでサイドテールに纏めた活発そうな女の子。彼女の名は越後雪(えちごゆき)。俺の一つ上の幼なじみで雪姉と呼んでいる。
「雪姉はきつくないのかよ?」
だいたい文芸部の合宿だってのに山に登るって言うのがおかしい気がする。部長がいきなり山関連のホラーが書きたいとか言い始めて何故か山登りになってしまった。
例年通りなら京都とかに行くはずだったのに………。
「あれ、そういえば部長たちはどこだ?」
今気づいたが周りに雪姉以外に人影がない。みんなはどこに行ってしまったのだろう。というかここは山のどこなんだ?
「………もしかして私達、迷った?」
確かに部長達のからは少し遅れていたが普通に前を見れば見える位置にはいたはずだ。それにちゃんと道らしき場所を歩いていたのにここはもう道の上じゃない。
「う、嘘だろォ!?」
思わず叫んでしまうがこれは本当にマズい。山は危険なんだ。合宿のしおりにも注意しろって書かれてあった気がする。
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