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「だ、大丈夫だよ!さっきまで道の上を通ってたんだからすぐにまた道に戻れるよ」
そうだ。雪姉の言うとおりだ。いくら山が危険だからと言ってそんな一瞬で道から遠くへ離れてしまうわけではない………ハズ。しっかり道のあった方向を意識して進めばすぐ道に戻れるはず。
あ、でもどの方向に道があるのかわかんね………。
「…………」
にしても、さっきから何か違和感を感じる。山で孤立したからか、まるで世界から切り離されたような………。
ズゥゥゥン!!
その時だ。腹に響くような衝撃音と共に大地が揺れた。
「なにっ!?」
「地震か!?いや、そしたらあの音は………」
ドンッ!!
俺の言葉を遮るように再び音が鳴る。今度はさっきより近い!?
「なんだ……あれ……?」
木々の隙間から音のした方を見るとそこにはバキバキと音をたてながら倒れる木が見えた。
一歩遅れてズゥゥゥン!!と腹に響く音。
そして倒れた木以外にももう一つ。真っ黒い人型の何かが見えた。
「……消えた?」
しかし次の瞬間にはそれはどこかに消えていた。なんだか怖いな。こんなとこはやく抜けて元いた道に戻りたい。
「……………」
そう思って雪姉を見ると雪姉は、ある一点を見つめて絶句していた。嫌な予感がした。雪姉の視線を追って振り向くと、そこには真っ黒な化け物が立っていた。真っ黒な巨体に赤い血管のようなものをたくさん浮かび上がらせた、およそこの世のものとは思えない化け物。
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