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「グオオオオオオオオオオッ!!」
背後から咆哮。
「誠!後ろっ!!」
走りながら振り返ると化け物が口を大きく開いてそこに赤い光が球状になって集まっていた。次の瞬間、赤い光が一気に輝きを増す。
「っ!!」
ズドンッ!!
俺は咄嗟に横に跳ぶ。それと同時に大きな衝撃音と爆風がさらに俺たちの身体を吹き飛ばした。俺たちの身体はゴロゴロと地面を転がり、木に背中をぶち当てたところでやっと勢いを止めた。
「だ、大丈夫か。雪姉………」
「私は大丈夫だけど……誠っ誠………誠の腕が………っ!!」
「………え?」
見ると、俺の右腕の肘から先が無くなっていた。そこからまるで水道のように血が流れている。
「う、うあああああああああっ!!」
それを認識した途端、激痛が走る。同時に俺の頭を絶望が塗りつぶした。
「う、腕がっ!!お、俺の腕がァッ!!」
俺、このまま死ぬのか?嫌だ。そんなのは嫌だ。怖い。怖い怖い怖いッ!!
「グギギギッ」
気付くとすぐ目の前まで化け物が迫っていた。やばい、死ぬ……。本当に死んでしまう………!
「や、やめろ!やめてくれ!!」
やはりこんな化け物から逃げるなんて無理だったんだ。こんなやつに出くわした事自体が俺達の終わり。
化け物の手が俺の顔にゆっくりとせまる。頭を掴まれてそのまま頭蓋を潰されてしまうのだろうか。
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