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今、俺の腕の中には見知らぬ女が意識を失ったまま眠っている。
――俺がお前を守ってやる――
どうしてあんな事を言ってしまったのか全く分からないが、この女の事がすげえ気になる。
懐かしくて温かい。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
女の目が覚めるまで、このままの状態では居られないと判断した俺は、迎えを呼ぶために携帯を取り出し圭介に連絡を入れた。
数分後、見慣れた車が俺の目の前に停まり圭介が下りてきた。
圭介は俺の腕の中の女を見て一瞬驚いた表情をしていたが、すぐに表情を戻し、俺に頭を下げ後部座席のドアを開けた。
「お待たせしました。」
圭介の言葉を聞いた後、俺は女を抱き上げたまま後部座席に乗り込んだ。
「圭介、あの車椅子も積んでくれ。」
「はい、分かりました。」
車椅子に乗っている所を見たわけじゃねえけど、たぶん女の物だろう。
「出せ。」
車椅子を積んで運転席に座った圭介に声を掛けると、俺と女を乗せた車は目的地へ向かって走り出した。
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