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「皆木様、お待たせ致しました。」
「ああ。」
「本日はありがとうございました。またお立ち寄り下さい。」
カードで支払いを済ませて荷物を受け取り店を出た。
次に行く予定の店へ向かって足を進めていると、数人の男の怒鳴り声と怯えているような女の声が聞こえてきた。
声のする方へ視線を向けると、三人の男のうちの一人が、嫌がる女を抱き上げて無理矢理車に乗せようとしていた。
「ちっ、」
その光景を見て小さく舌打ちをし、女を抱き上げている男達に向かって足を進めた。
女を助ける義理はないが、目の前で連れ去られるのは気分が悪い。
仕方ねえ。
「おい、何してんだ。」
俺が声を掛けると男達の肩が大きく震え、こちらへ振り返ってきた。
その時、大きな瞳から涙を流す女と目が合った。
女の涙を見た瞬間、目の前の男達を今すぐ殴ってやりてえ気分になった。
「俺の言葉が聞こえなかったのか?」
心の中に溢れる感情に戸惑いながらも、苛々する感情を抑え男達に視線を戻した。
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