135人が本棚に入れています
本棚に追加
「何だテメェ!!邪魔すんじゃねえよ!!」
「お前なんかに用はね-んだよ!!」
「もういいから早く行こうぜ!!」
こいつら、誰に向かって口聞いてんだ?
マジで俺の事を知らねえのか?
だから、こんな場所で馬鹿な真似が出来るって事か。
「俺が誰だか知らないのか?」
「お前なんて知らね-よ!!おい、もう行くぞ!!」
一応確認してみたが、やっぱり知らねえみたいだな。
色々考えていた俺の隙をついて、女を抱き上げていた男が俺に暴言を吐き、女を車に乗せようとした瞬間、俺はその男を殴って女を自分の腕の中に引き寄せた。
「大丈夫か?」
俺が女に声を掛けると、意味が分からなくて声が出ないのか、女は戸惑った表情をしていた。
「っ、大丈夫です。」
俺の問い掛けに女が震える声で返事をした。
その女の声を聞いた瞬間、無性に切ない気持ちになった。
「俺がお前を守ってやる。」
気付いた時には、そう口にしていた。
女に聞こえたかは分からないが、俺と目が合ったと同時に女は意識を失った。
意識を失い俺の腕の中で眠る女が運命の相手になるとは、この時の俺にはまだ分からなかった――…。
最初のコメントを投稿しよう!