「それじゃあ…おやすみ」

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「篠村さんは、これまで何してたの?」 すっかり打ち解けた口調になった四宮さんが、吊革を持ったまま私の方に顔を傾けて聞いた。 「え…私ですか? うーん、別に普通ですよ。 地方から出て来て都内の美大に入って、新卒で今の会社に入りました。 『hito + cafe』さんやる前は、特にパッとするような事はなかったですし」 苦笑いしながらそう言うと、四宮さんは 「ふうん、そうなんだ」 と、気のない返事をして、ドアの方に顔を向けた。 あれ…? 予想とは何か違う気がするリアクションに肩透かしを食らう。 確かさっきも、こんなことあったような… 「あ、次乗り換える駅だよ、篠村さん」 「はっ、はい」 突然また振り返った四宮さんに焦り、慌てて返事すると、クスクス笑われた。 あれ、元に戻った。 考え過ぎかな…
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