「秘密にしてもらえますか?」

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同じチームだし、今回も『hito + cafe』のプロジェクトで一緒に動いてもらう予定だ。 報告するのはもちろん当たり前だけど、業務連絡的な内容を話しているうちに段々ヒートアップして、四宮さんの問題発言のところまでついしゃべってしまった。 しかしひとしきり笑ったあと、樫くんはニヤニヤ顔でこう言った。 「だって、篠村さん、それはあなたが悪いですよ」 え…? 同調してもらえないどころか、思いもしなかったことを指摘され、口を噤む。 「大体、自分で自分のこと普通普通って言ってたんじゃないですか。 これから『あの四宮智秋』と本気でタイマン張って勝負しようって時に、 『普通』『パッとしない』『他のチームの小間使い』 とか言ってたら、相手だって呆れますよ、こんなんで大丈夫なのかって」 いやいやいや、誰も『小間使い』とまでは言ってないって。 大体、タイマン…って君。 樫くんが体を捻り、こちらを向いたまま再びコーヒーカップを手に取ると、一口すすってから身を前に乗り出した。 「『hito + cafe』始まった頃の、あの臨戦態勢はどうしたんですか? あれくらい虚勢張っていかないと、『あの四宮智秋』には勝てませんて」 虚勢…あのね… さすがに何か言い返そうと口を開きかけた時。
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