「秘密にしてもらえますか?」

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「あんなヤツに、負けるんじゃないわよ」 「わっ、びっくりした…」 いつの間にか私と樫くんの席のそばに立ってこちらを見下ろしていたのは、 南さんだった。 「南さん、お疲れ様です。 珍しいですね、休日出勤」 南さんは、ウチでの勤務年数はまだ浅いが、海外でキャリアがある中途社員。 少しワガママだが、デザインセンスは社内でもトップクラスだと思う。 ちなみに私より、少しお姉さんである。うん少し。 「そんなことどうでもいいのよ。 『あの四宮智秋』と勝負するんでしょ? 負けちゃダメよ、あんなヤツに」 「いや…勝負…って」 珍しく前のめりな南さん。 横で樫くんが、「あ、そうか」とポンとヒザを叩いた。 「南さん、『あの四宮智秋』と出身大学同じじゃなかったでしたっけ」 樫くんの言葉に、南さんは眉間にシワを寄せた。
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