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「なあ、班の決定は多数決だろ。あとはタツオだけだ。姫からおまえは絶対に連れてこいって念を押されてるから、こなくちゃダメなんだぞ。あんな美人に指名されるなんて、うらやましいやつだな。この」  ばしんっと音が響くほど平手で背中を打たれた。気の強い顔を思いだす。サイコは確かに美人だが、姫のあだ名のとおり扱いがめんどうなのだ。だいたい東園寺家の人間とはもうかかわりになりたくない。うんざりしていると、クニが耳元でいう。 「このまえの狙撃事件といじめの話があるんだってさ。おまえのこと、心配してたよ」  そのとき、こつこつと扉をノックする音がした。教官かもしれない。4人はすぐにその場で、直立不動の姿勢をとった。 「はい、3組1班です。どうぞ」  ドアを開けて顔をのぞかせたのは、スリラン・コーデイムだった。入学時の順位は16番と優秀だったはずだ。浅黒い顔がおどおどと室内をのぞきこんでいる。 「悪いけど、ちょっと話いいかな」
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