廃墟ビル

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 真紀も二人の攻防を注視している。  二人とも間合いを取りながら攻めあぐんでいるよう。  突然、沈黙を破り篠原が、自分を連れて来いとメンバーに命令しているのが聞こえた。  真紀は苦笑いしながらマイボトルを出して、ゴクゴクと飲み出した。  真紀愛用の金木犀のお茶であった。  金木犀の香りが辺り一面に漂い始める。 「おい!」 「何をやってんだ?!」 「痛い目を見たくなかったらおとなしくついてこい」  乱暴な口調でいらつくように言った。 「あら、貴女、顔に似て言葉も乱暴ね」 「もっと人格磨きなさい」  キツヌ眼の副リーダーは自分の耳を疑った。 『この女は正常な感覚が欠落しているのだろうか?』 この状況下でどうして平常心でいられるのだろうか  副リーダーは真紀を観察する。 (眼の焦点は合っているし異常は見受けられない。多分財閥のお嬢様か何かなんだろう。しかし世間の厳しさは教えナイト)  威嚇するつもりで真紀の足元をチエーンで打撃した。 「脅かさなくても行きますわ」  微笑みながら呟いた。  副リーダーは驚愕する。  実は手元が狂って足元を直撃していたのであった。
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