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左手の関節の下辺りに、熱と鈍痛を感覚した。
左手のリング状の痣が、反応すると瞬時に、丹田に内力が充溢してくる。
伸一は気を七脈に散じた。全身に力が漲ってくる。
ゆっくりと丹田から息を吐きだす。
力が漲って来ると、脳髄の一部が痺れたような感覚も消失してきた。
幻夢の中で遭遇した少女と緑色の仮面。
蟹のように飛び出た眼がこちらを見た瞬間に感じた邪悪で甘美な波動。
眼前に現出した蒼い球体。
何を示唆しているのだろう。
何かの前兆だろうか、そんなことを想いながら前方の入口のドアを眺めた。
突然邪悪な波動を感じた。
得体の知れないエネルギー体に対して伸一は身構える。
右手をゆっくりと天空へ突き上げたように見えた。
木剣が右手に収まっていた。
僅かに蒼い燐光を放っている。
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