廃墟ビル

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 二年前、真紀と明美で【紅連合&スネーク連合】を解散させた武勇伝は伝説になっている。  従姉妹の知子が【紅連合】を抜けるのに、リンチを受けるかも知れないと叔父さんが知らせてくれた。  場所を聞いて明美は走り出した。国分寺史跡の近くだと15分位で着く。  途中で真紀と遭遇した。血相を変えていたのだろう 「何でもない」と言いながら走っていたら一緒についてきた。  風がまるで鋭利な刃物を潜ませているように、突き刺ささってくる。  大通りを左手に折れ、小学校を右手に見ながら坂道を下って5分ぐらいで史跡が見えてきた。  史跡から二百㍍離れた荒れ地に、総勢40人ぐらいが集合している。  知子を取り囲んでいるのが見えた。  皆、白い紅の文字のボカシが背中の中央に溶け込んでいる紅いロングコートを羽織っている。  知子の右手と左手を女二人が左右に広げて羽交い締めにしていた。  小柄で意外なくらい愛らしい顔だちをした知子の口は血が滲んでいる。 「もうそのぐらいでいいだろう」と明美が透き通って響きのある声で言った。  一斉に声のする方を振り返った。 「なんだ~てめえは」  大蜥蜴を連想させるような顔をした、プロレスラー並の体格の持ち主の金髪の女が叫んだ。 「怪我をしたくなかったら引っ込んでなぁ」  狐眼をした異常に痩せた女がチェーンを、ちらつかせながら呟いた。
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