邪悪な黒狐族との闘い

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「凛……?どうしたんです?」 つっ立ったままの凛を見て、静音が訝し気に彼をみつめた。 ちらりと静音に視線を走らせてから、凛は苦々しい表情で口を切った。 「今日、狭霧(さぎり)に逢った」 それが何だよ、という顔を紗雪はした。 狭霧は、B班のリーダーだ。 白狐族の剣士は、強い順にA班からZ班に分かれている。 A班には最強のメンバーが揃っており、B班のリーダー狭霧は、つまり白狐族の剣士の中で5番目に強い。 A班からD班は、激戦区の首都及び近郊を任されており、顔をあわせる機会も少なくなかった。 A班のメンバーが狭霧に逢うのも、そう珍しいことではない。 「狭霧がどうかしたんですか?」 たおやかな美貌に一抹の危惧を滲ませて、静音が尋ねた。 静かな口調だが、それが返って裡に秘めた不安を感じさせた。 凛は苦しそうな表情で、一同を見回した。 「誰か、十夜の消息を知っているか?」 凛の口からいきなり十夜の名前が出て、姫香の心臓がはねあがる。
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