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次の日、日和は目覚まし時計の音で目を覚ました。キッチンにいくと母がいつものように朝ご飯を作っていた。
「おはよう。」
日和は母に朝一番の挨拶をした。
「おはよう。ご飯食べる?」
「うん。」
母は目の前に味噌汁、玉子焼きにご飯をおいた。寝ぼけながら箸をとると、おかずとご飯を交互に食べた。
「トーストかよかったな」
日和はぽつんと言葉をもらしたが、母はそれを聞き逃さなかった。
「何いってんの!じゃあ日和が早起きして作る?」
当然、母は怒る。
しまった、地雷ふんだ。日和は心の中で思った。母が''あのね''という単語を発する前に早く自分の部屋へ戻らなければ母のブツブツ攻撃を食らってしまう。
「だいたいあんたは、まともに就職してないからって、いつまでこの家にいるつもりなの?これじゃあ、小学生と変わらないでしょ。」
日和は食器をシンクの中にいれ、素早くキッチンを立ち去ろうとした。こうなると、抵抗しても無駄だ。日和は逃げることにした。
「はぁー。自分のことは自分でしなさい。まったく、あなたって子は。いい?あのね、」
「ごちそうさま。」
日和はさっさと片づけて、素早く廊下に出ると扉を閉めた。
あのまま、キッチンにいれば、就職しろだの、結婚しろなどウダウダ言われることを日和はもう分かっていた。
「はぁー。まったく。」
母の大きなため息が扉越しに聞こえた。
日和は家事も、食費も全て親に頼りきっていた。
「私だって、親に頼りすぎなことくらい分かってるもん。」
日和は少し悲しげにそうつぶやくとさっさと仕事へむかった。
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