星の世界

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ミャーオ。 まだ状況を把握できない日和の耳に鋭い鳴き声が聞こえてきた。 ミャーオ、ミャーオ。 鳴き声は、大きくなりながら、 どんどん近づいて来る。 日和は、恐怖のあまり ただその場で固まることしかできない。 ミャーーーオ。 4回目の鳴き声がしたあと、 足元からでた黄色い光が 日和を照らしたかと思えば、 その光りは、周囲に広がり、 遠く彼方まで走っていった。 だが、遠く彼方まで何もなく ただただ、闇の平原と、所々下から黄色い光が下から差し込むだけだった。 目の前には、美しい白猫が座っていた。 相変わらず、気品にあふれる姿は まるでこの世界は自分の物だ。 と訴えているようだ。 『日和、ついてまいれ。』 突然、日和の頭の中に、柔らかな気品のある声が響いた。 不思議なことに声の主が目の前の白猫だとすぐにわかった。 白猫は日和に背を向け歩きだした。日和はそのまま白猫についていく。 周りを見ると、黄色い光は円のなかに五芒星を描いている。 そして、それがいくつも繋がり闇の平原を照らしていた。 「あの…白猫さん…?」 日和は意を決して話しかけた。 「ここはどこ?私…訳がわかんないんですけど…」 『すまぬな、急に連れ出して。私も、よくわからんが、あやつがお主をつれて参れというのでな』 「あやつって、誰?」 『とりあえず、説明はあとまわしにしてもよいか?おいおいわかる。』 そのまま、白猫は黙り込んだ。 日和は仕方なく、黙って白猫についていく。 何とも不思議な世界だ。 光と闇だけの世界、生き物の気配がまるでない。 光の五芒星も形が一つ一つ違い 、歪なものもある。 「あの、白猫さん?この星の模様は何?なんか歪なのもあるけど、何か意味があるの。」 『…』 白猫は何も答えない。 “なによ、分からないこと聞いてるだけじゃん。もしかして、白猫さんも今置かれてる状況わかってないとか?” 日和は自分の心の中でそういうと 不安を覚えた。 『聞こえてるぞ。日和殿。 神社に来る前にパンを食べながら、今日はお好み焼きパンだぁ、ラッキーというのも聞いた。』 “えっ?私の心の声が聞けるの?” 『その通り。全て聞こえる。 そなたに馬鹿にされるのも しゃくにさわるので、説明してやろう。』 ●五芒星(ごぼうせい) 五角形の辺を延長してできる、5つの突起をもつ星型。
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