星の世界

3/4
前へ
/232ページ
次へ
『そなたは、五行を心得ておるか?』 「別に心得てはないけど、大学で少し習った。」 日和は大学で古文を専攻していた。その中で時代背景などを調査する際に、陰陽師についても、調査していた。 「木火土金水(もっかどごんすい)か ら万物が成り立つってやつでしょ?」 『まぁ、ちかいな。その五行を図にするとこの五芒星になるのだ。』 “ヤバイ。白猫さんが言ってること理解できない" 『打ち伏しの巫女の末えいが聞いてあきれる。そなた、水梨 日和に間違いないか?』 白猫はそう言うと前をさっそうと歩く。 「はい。正真正銘、私が水梨 日和です。」 『では、今もそちの一族は神社で神に仕えておるのだろう?』 「いえ、一般庶民です。 でも確かに本家の叔父さんが、神社の神主です。」 『まったく、あやつはこんな娘をつれて来て何を考えておるのだ?』 “何よ馬鹿して、あやつって誰よ” 日和は心の中でいうと、少しムッとした。 白猫は聞こえていたが、 これ以上話しても無駄だと判断したのか、何も言わなかった。 しばらく、沈黙が続いた。 白猫はさっさと歩き、それを日和は追いかけた。 先に沈黙を破ったのは日和だった。 「これなに?」 日和は足を止めた。日和が何かを見ていることに気づき、白猫も足を止め、日和の視線の先を見た。 視線の先には、全ての線が細く光が弱い五芒星があった。 『この時代は何かと不作だったのだ。』 白猫は少し目を細めて続けた。 『さっきの五行だ。 木火土金水はそれぞれ、 木は火、火は土、土は金、金は水、水は木を生成しておる。 また、逆に木は土、土は水、水は火、火は金、金は木を剋すのだ。 この年は、あちらこちらで木の力が失われたのだ。 それによって、全ての力が弱ってしもうたのだ。』 白猫は日和の目を見て、 『理解いただけたかな。巫女どの』 と言うとまた歩き出した。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加