6人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「愚かな…」
彼女はそう言葉をもらして、血に塗れた俺を見下ろした。
「人間は弱いものだな。己の所業に飲み込まれるとは…」
彼女は雨の中、傘もささず淡々と言葉をつむぐ。街のネオンが遠く感じる。
俺は何故ここにいるのだろう。俺は何故こんなにも絶望しているのだろう。俺は何故血に塗れているのだろう…何故、なぜ、ナゼ…
あぁ、どうでもいいか。興味がない。俺が何をしようが、俺が死のうが生きようが…興味がわかない。
思わず笑みをこぼす。
「ほぅ…いい目をしているな。」
彼女がそう言って、にやりと笑った。そして俺に目線を合わせるように屈んだ。
「私と共に来るか?」
あぁ…彼女はなんて美しいのだろう!
最初のコメントを投稿しよう!