第3話

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--1.突然の別れ-- 花月の言う,あの子の答え。 それをずっと待っていた。 すると花月は頬を赤く染めながら言った。 「あ,あのね…逢沢くんって知ってるよね?」 突然出てきた名前は, 同じクラスの逢沢類であった。 逢沢の事なら,知っている。 と言っても知っているのは名前くらいで。 帰国子女とか言ってたなあ。 なんで彼奴の名前が? 「知ってるけど,逢沢がどうかしたの?」 「ほんっと春輝て馬鹿。 私は逢沢くんと付き合って欲しいの!」 はぁ…? 「花月,それは無理だって!!!!」 まさかの付き合って欲しい相手が男… それは無理だ。 俺は花月以外考えられないし。 第一,逢沢は男だし! 「無理じゃないよ大丈夫だって」 何が大丈夫なんだよ… 「逢沢って第一男だし, ごめんだけど無理だって」 「お願い,ほんっとにお願い!」 上目遣いで見られるとドキッとする。 でも何で,逢沢と付き合って欲しいんだ? 幾ら何でもそれは…無理。 「なぁ,花月」 「なぁに?」 「何で俺と逢沢に付き合って欲しいの?」 「だって,春輝と逢沢くんはお似合いだもん。私と並んで歩くより,全然良いし」 「俺は,男と付き合う気は更々ないし 花月と居たいから無理だよ。 花月自身はどうなの? 俺と居たくないからじゃないのか?」 「そう言う事じゃなくて…」 遠回しに言う,別れの言葉である事に 何故すぐに気付かなかったのだろうか。 「もういいよ,別れよ花月 逢沢と付き合って欲しいなんて出任せだろ。」 俺は目の前にいる彼女が涙ぐんでいる事に 気づいていたが,知らないふりをした。 「春輝,聞いて…誤解だよ違うの…」 遠くからか細い花月の声が聞こえた。 でも俺は振り返らずに歩き続けた。
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