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「…っ…ふわぁ~……ねむ…」
入学式から一週間と少し過ぎたある日。
たまたま朝早くに起きたので
これはラッキーだと思い、いつもより早く学校に行った。
いつも通り、寝ぼけた頭で教室に
荷物をサッと置き、俺は一週間と少し前から
目を付けていた体育館倉庫の柔らかいマットの上で
夢の世界に片足だけ突っ込んで
心地よい気分でいつもの空気を堪能していた。
しかし
そんな俺の安らかな時間は
こんな時間帯に自分以外が開かなければ開くことのない
その扉からなる、突然で、唐突に
耳に響いた音によって呆気なく崩れた。
ガラガラガラガラガラ────
目の前の
扉が開く
俺は目を見開く。
一週間以上続いた平穏によって
先生がこの時間帯に目の前の扉を
開くことがないことを知っていたから──
驚いている俺の前に現れた
平穏を崩したのは先生や、俺と同じように
サボりに来た不良等じゃなかった。
それは茶系混じりの黒髪をしたショートカットの
高校生とは思えぬ程とても小柄で
いかにも気の弱そうな困り眉毛が
特徴的な見知らぬ女子だった
…そして…割と勢いよく開けたのにもかかわらず
その人影は扉の向こうから
オズオズとこちらの様子を伺っていた…
そのどれもに俺は拍子抜けた。
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