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--3.まさかの--
「あのさ」
鈴木と話に夢中になっていたら
急に聞き覚えのない声がした。
振り向くと其処にいたのは
噂の…逢沢だった。
「あんたに話あんだけど」
あんたって誰の事だ?
鈴木と顔を見合わせる。
鈴木の顔が御前の事だろって言っている。
「佐藤,御前に話がある」
「え,あ…俺?」
「このクラスに佐藤は御前しかないだろう」
初めて話した。
逢沢っていつも無口だから
声も初めて聞いた気がする。
逢沢,こんな声だったんだ。
低いけど,優しい声。
何処となく心地のいい声。
すると,花月がやってきた。
正直顔を合わせたくない。
昨日の件もあるし…
「春輝くん,
こう見えて類は良い子だから大丈夫だよ」
春輝くん,か…
あと,類って呼んでるんだ。
昨日別れたばかりなのに
もう過ぎ去ったことになってる。
自分から別れを言ったのに寂しくなる。
中学校時代から交際してたからかな。
「行こう,佐藤」
そう言って俺の手を引く逢沢。
え…?
普通,健全な男子高校生が手を繋ぐか?
鈴木の方をみると,
何やら楽しそうに微笑んでいる。
彼奴,後で殴る…!
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