自然と少年

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その悲劇とは、ある日木に登っていると高さ5メートルほどから落ちてしまったのだ。 滝ノ助は泣きわめいて助けを求めた。 そこに祖父がやってきた。 『何をしておる!!』 怒られるのではないかと思い、子供ながらに緊張で心臓が早い動きになっていた。 『あーあ、大丈夫かい。さぁ、服が汚れたから家に入りなさい。』 その時の祖父の優しい顔を今でも忘れない。 あんな優しい祖父がそれから間もなくして死んだ。心不全だったという。 小さいながらにもう祖父に二度と会えないという悲しみとせつなさで心が一杯だった。そして、泣いた。 あの時、かすり傷ですんだのは祖父の死と引き換えっこしたからではないかと思い、なおさら悔しさがこみ上げてきた。 祖父の葬儀を終え、両親はうつ向き加減で佇んでいた。そんな両親を見て初めて、「自分も祖父のような人間になりたい」と考えるようになった。 滝ノ助は祖父が亡くなる直前までやっていた植木屋を継ぐ決意をした。
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