第1話 竹内真帆編①

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 私はもう1度、「何なのこのアンケート」と声に出してみる。  ……声に、出してみる。  出したよね。今、ちゃんと話したよね。  あれ? 私、話し方まで忘れちゃったの?  自分の声が聞こえない。  ……まさか。  机をバンッと叩いてみた。手に振動が伝わる。手の平がひりひりする。  確かに叩いた。……何も、鳴らない。  聞こえない。 「……嘘……」  先ほどのアンケートの質問内容を思い出す。 『Q2、先程選択したものを手に入れられるのであれば、その代償として失くしてもかまわないものは以下の内どれですか』  そして私は、聴力を選択した。  ……だから、なの? てことは?
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