第1話 竹内真帆編①

27/38
前へ
/38ページ
次へ
 私が一直線に向かったのは、トキが働いている職場だ。彼は駅前にある不動産会社に勤めている。  トキの会社が入ったビルへ向かうために、人通りの多い駅構内を通り抜けていく。  心なしか全身に貼りついてくる沢山の視線。ちらっと振り返ると、若い男の子が慌てて顔を背けた。  みんな、私を見ている。きれいになった私を。  最強だ。  誰もがみんな、私に羨望の眼差しを向けている。  どんな女だって、今の私には勝てないわ。  ……そうよ。あの女もね。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1894人が本棚に入れています
本棚に追加