男とおばちゃん

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━━僕は引退してから初めて、新しく僕の「家族」になった人間と空港に行ったんだ。そしたら僕の鼻が懐かしい仕事の匂いを嗅ぎつけた。 ヘンな匂いで、あんまり嗅いじゃうと頭がぼぅ~っとしてくる匂いさ。 僕は新しい、僕にいっつもくっついてくる小さなマスターに知らせようとして、白い大きな紙袋を抱えた頭の禿げた人間の男に向かって吠えた。でも、小さなマスターは僕を叱ってゲージの窓を半分にしちゃったから伝えるのをやめて見てたんだ。 きっと僕のあとを継いだ新人が見つけるだろうって。 男の抱える紙袋からは大きなぬいぐるみが顔を出してた。 僕はそのぬいぐるみが怪しいとにらんでた。 ちょっと時間がたって、僕の思った通りに全身黒い毛の新人が現れた。でも、その新人のマスターと僕の小さなマスターの家族が話し込んでからは、新人は僕のおしりばかり匂いで来て、禿げた男の匂いには気づかなかった。 そのうち、男が紙袋を椅子の横に置いて、辺りを見回してるのを、僕はずっとみてた。新人と僕のマスターたちは話すのに飽きたのか、話すのをやめて、新人は仕事に戻ろうとした。 僕はまた男に向かって吠えた。新人のマスターに伝えようとしたんだ。 新人のマスターは僕の言いたいことが分かったみたいだった。僕を見てから男の方をちらっと見て、僕の頭を撫でた。 空港のゲートが開きだしたのを見て禿げた男は歩き出した。 そしたら...
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