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女の人のおどりはしだいにゆっくりとしたビートをきざむようになり、手や足の動きも直線的だったのがうねうねと曲がりはじめました。
ぼくは女の人のおどりを見ているうちに、何だか無性におどりたくなってきました。
体が自然とうずうずしてきたのです。
なぜそんな気持ちになるのか自分でもうまく納得できません。
つい先ほどまでおどりたいだなんてぜんぜん思っていなかったのに。
でもそれはまぎれもなくぼくの本心なのでした。
「……踊りたい?」
「……はい」
「もう戻れなくなるわよ」
「べつにかまわないです」
どうせうそっぱちに決まっていますし。
それにもう、体の中でうずまいているこの興奮を止めることはできない気がしたのです。
「……そう、分かったわ。じゃあ、基本から教えるわね」
そう言って女の人は野に咲く花のような笑みをうかべたのでした。
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