第1話

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マジョの言った言葉の中にはいくつか分からない単語がありましたが、おおよその内容はつかみとることができました。   ぼくがこくん、とうなずくとマジョはそれじゃあね、と言って森の中へとおどりながら消えていきました。 まだ森で何かするのでしょうか。 こんなに暗くなってから森ですることなんて、ぼくにはカブトムシをつかまえるためのわなをしこむこと以外思いつきません。   どこまでもなぞに満ちたマジョでした。 カブトムシをたくさんとっていたのと、マジョとの出会いのせいでぼくは予想以上に遅く家につきました。 お母さんはぼくの頭をぽかりとなぐりましたが、それ以上のおとがめはありませんでした。 こんなに遅く帰るのは初めてのことだったのでどんな目にあうかと思っていましたが、ウチのお母さんはひかく的やさしいショバツで済ませてくれました。 うちのお母さんがジヒ深い人でよかったです。 「でも知久、あんまりにも遅かったからお母さん心配したのよ」とお母さんはぼくのご飯をよそいながら言いました。 「ごめんなさいお母さん」 とぼくは素直にあやまりました。今日の夕飯もおいしいです。 「あそこの森は夜になると魔女が出るって昔から言われてるからね。魔女に誘拐されたんじゃないかってお父さんも言い出しててさ」
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