第1話

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ある時。 何がきっかけだったのか、思い出せない。 二人で出かけることになった。 一緒にご飯を食べに行った。飲みにも行った。 多分、これが食べたい、飲みに行きたい。と言ったんだと思う。 今はもう無くなってしまった商用施設の地下の居酒屋に行って、あれこれ話をしては、気持ちよく酔っ払うか、彼だけ飲んで私が自宅まで彼の車を運転し、彼は自分で運転して帰ったこともあった。今では考えられないことだけど。 一度前例を作ってしまえば、ふたりで出かけることに特に躊躇もなくなった。 別に特別な関係ではないが、一人より断然楽しい。淡くとも、気になる相手とデートの真似事(と言ってしまえば真似事だが、デートと言ってしまえばデートともいえる。)だ。楽しくないわけがない。 ディズニーランドにも二人で出かけた。 ディズニーランドには有休を取って平日出かけるのが鉄板だ。 ある日は二人とも通常通り出勤していて、午前中にピンク色のクマが何往復かして、午後からの半休を決めた。 普段通り素知らぬ顔して午前中で退社し、表の門を出たら普段とは違う方向へと歩く。少し歩いて、角を曲がったところに彼のレガシーが待ってくれていた。誰にも気づかれないように、彼と会って、出かける。助手席は自分だ。 今考えてみれば、いっぱしの恋人同士のデートのようだ。 少女漫画にありそうなシチュエーションにも胸が弾む。
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