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ある日の仕事あがり、いつものように居酒屋に飲みに行った帰り。
このままここに居ても、何も変わらないで時間が過ぎていくんだろうと改めて認識したその日、彼に告白をした。
二人での楽しい外出を繰り返したら、単純な私の気持ちは徐々に膨らんでいき、そのうちもっと欲を出すようになった。
もっと会いたい。もっと一緒に居たい。
好きです、付き合ってください、もしダメなら、私会社を辞めて海外に行こうと考えています。もしOKだったら、このままここに残ります。
そんな自分本位な告白をされた彼は。顔も見れなくて、どんな表情をしていたのかわからなかったけど。
自分が次に付き合う人とは、結婚を考えなくちゃいけなくて。
と、言った。
何よそれ。体のいい断り方。
と思って悔しかったが、この数年後、その時の彼と同じ年になった頃、彼の気持ちが理解できた。あの時、私を嫌いとか好きとかではなく、彼なりの本心を伝えてくれただけ。
付き合ってみたら結婚したくなるかもよ、と私がそこで言っていたら…そこからスタートラインに立ったかもしれない。
彼もそういう目で私を見るようになって、お互いにデートごっこではなく、大人同士の付き合いに変わっていたかもしれない。
でも、私はその時、そうしなかった。
勿論、試しに付き合ってみれば?と提案するほど自分に自信はなかったのだけど。
その日彼は車で家まで送ると言ってくれたけど、今日は電車で帰ります、と言って辞退した。
今思えば、やっぱり少女漫画かドラマのまねっこのようだ。
振られてから、しばらくはピンクのクマさんは開店休業となった。出かけることもなければ、来ることもない。
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