第1話

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海外留学を本気で考え、仕事の辞め時も具体的に考え始めた頃。 ピンクのクマさんに、出かけてもらった。 多分ただ会って、話をしたかっただけ。彼の独特の雰囲気に包まれたかっただけ。 「どこか遊びに行きたい」 彼は大人だったから、子供の駄々を聞いてくれたのかもしれない。 お台場のビーナスフォートを歩いてから、巨大観覧車に二人で乗った。 「何緊張してんだよ?」と笑って突っ込まれるほど、彼にはバレていたんだろう。 「高いから怖いんだってば。」と言い訳しながら、顔が赤くなっていないかしら。と、一生懸命平静を装ってみせた。 本当は、すっごく緊張してた。クラクラする位。 密室状態で、他に誰にも邪魔されない二人だけの空間は、時間の進みを遅くした。 「友達同士で乗るのはあまりおススメできないね…」 笑いながら冗談めかして言ったのは、本心だ。 最後のディズニーランドは、やはり平日の午後。 どこかに遊びに行こう、といって出てきて、思いがけず彼が連れて行ってくれたのがディズニーランド。園の駐車場まで車を乗り付けた。久しぶりで嬉しくて、はしゃいだ。 最後だとわかっていたから悲しいはずなのに、彼が自らそこに連れてきてくれたことが嬉しかった。 思い返せば、恥ずかしいくらいにプラトニック。 彼はシャイだと思っていた。 でも、それは彼が私に遠慮していたのかもしれない。 2度、手を握られたことがある。 映画館と車の中で。 でも、彼がからかっていると思ってた。 もし私がもっと大人だったら、きっと何か変わっていた…。 その可能性に気が付いたのは、ずっと後のこと。
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