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そんな大きな映画館じゃないから、席はフリー。
パンフレットやポップコーン、飲み物を各々買って中に入る。
「ぅわぁ~。満席!?」
「やっぱ、人気あるよね~」
「あっ!天使。アソコ空いてるよ?」
「おし。行こうぜ」
一番後ろの隅が丁度四席空いていたから、そこに座る。
真琴、店長、俺、天音‥‥の席位置。
暫くすると照明が暗くなり、オープニング前のCMが流れ始め‥‥
暗くなったと同時に店長は殆ど俺に背中を向けている。
何してんだろ~‥‥なんてちら見した俺がバカだった‥‥。
節操なしのモンキッキが隣だと
俺、大丈夫なのかな?
不安で堪らんし
色々、堪らん‥‥
独り頭を抱え悶々としていると、右側に座る天音と眼が合った。
ニコッと笑って、本当に嬉しそう‥‥
吊られて俺も微笑んだ。
本編が始まり、さすがのモンキッキも真面目にスクリーンを見てるのを視界の隅で確認しホッと胸を撫で下ろす。
凄く良い話しで、中盤は切なくてズルズル泣いていると
天音がハンカチを渡してくれた。
なんか眼鏡屋って親近感の上、感情移入がこの上ない。
(‥‥っつか、涙で観れねーとか‥‥)
流石にいつもと違って、店長や真琴君も居るのに‥‥俺、涙止まんないし‥‥
そう思った瞬間右の肘掛けに置いていた手を、天音がギュッと握ってきた。
一瞬、彼女を観ると映画に集中して俺を見てない。
‥‥でも、手はしっかり握られていた。
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