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予想外に京に入るのが遅くなってしまった。少々めんどくさいことに首を突っ込んでいたらこの始末。今は恐らく丑三つ時あたり。気が付けば真夜中になっていた。
おまけに五、六人の男につけられてるし……。勘弁してくれよ。今日は路地裏で野宿でもするつもりが、この様子じゃぁ、オチオチ寝られそうも無い。
とりあえず、こいつらを片付けるか。
そう決めた俺は先程から休むことなく動かしていた足をするりと止めた。
それに伴って男達の気配も止まる。
「お前さんたちは俺に何の用だい?用が無いなら放っといてくれないかな。俺もそろそろ寝たいんだけど。」
その俺の一言に挑発されて、男達は路地裏から現れた。
「俺達は辻斬りだよ。悪いなぁ、お兄さん。とりあえず身ぐるみ全部置いておきな。生きて帰してやるかは、俺達の気分次第だけどな。」
全部で六人か。実力は大したことないな。
「生憎、この荷物は俺の全財産なのさ。そう簡単にはやれないよ。」
「そうかい、兄さん。じゃぁ、殺して奪うまでさ。」
そして、男達はまとめて刀を抜き、飛びかかってくる。男達には少年の呟く「殺されるのは俺じゃねーよ」という一言は聞こえなかった。
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