『友』

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 誰も私を見ない。私なんて存在してないように皆は振る舞う。  息ができない。くるしい……くるしい……。  ここは私の居場所じゃない……。  ◇ ◇ ◇ 「おはよう」  朝、教室に入って挨拶をしても誰も振り返らない。  席に向かっても、私の席には私じゃない誰かが座っていて、隣の席の子と楽しそうに話している。 「ごめん。どいてくれるかな?」  緊張しながら精一杯の声で訴える。けれど、その子は聞こえない振りをして、そこからどこうとはしない。  いつものことだけど、涙が出そうになる。私はそれを必死にこらえ、少し離れた場所で始業のチャイムが鳴るのを待つ。ほどなくしてチャイムが鳴ると、彼女は乱暴に椅子から立ちあがり自分の席へと帰っていく。  自分の席につき安堵するが、それも束の間のこと。私は教師にさえ存在を消されている。席の順番で回答する時も、質問する時も、教師たちは私を無視して次の生徒を指す。  休憩時間も授業中も変わらない苦痛。私は時々、思ってしまう。 『なんで、私はここにいるんだろう』 『私は本当に存在しているのだろうか?』  苦痛にまみれた学校。だけど、こんな私をにも安心できる場所はある。そして、私を見てくれる人もいる。
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