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「あー! ごめんごめん!!」
頬から指を離したなこが慌てながら手のひらを合わせる。行き成り謝られた理由が分からず困惑していると、それは分かってるよ。となこが言う。
「悪口とか、愚痴とか、そんなの当たり前だと思う。それでも琴ちゃんが優しい子だってことは分かる。ただ、嫌なこととかを内に秘めこんじゃうタイプなのかと思ってたから少し心配してたんだ。でもちょっと安心した。もし私に嫌なところがあったら直ぐ言ってね?」
「なこちゃん……」
「私は三年間、ずっと琴ちゃんと一緒にいるつもりだからさ」
その笑顔と言葉に、身体全体が熱くなる。出会って二週間も経たない二人だったが、少なくとも琴は、三年間仲良く付き合っていけるという確信を持った。なこの告白じみた言葉は、恥ずかしくも琴の胸に染み渡るように広がって行き、心を暖めていく。
「私、なこちゃんのこと、好きだな」
感じたことを素直に伝えれば、琴の体温が伝染したかのようになこの顔が真っ赤になる。二人はなんとも言えない恥ずかしさに苛まれたまま昼食を終えたのだった。
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