出会いは始まり

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 古く使いこなされた木造2階建ての玄関脇に、机を横並びにして上級生の男女が新入生の対応をしていた。  本人確認の方法は、よりにもよって網膜スキャンだった。 「あー…と。蒲生聖河(がもうせいが)さん、ですね。承認しました。今、君のモバイルにテキストデータを送ったから、それみて諸手続きしておいて…ください。……んじゃ、次の人」  俺を受け付けた男子生徒は、気付くや否や視線をそらしたまま早口に告げる。  彼を咎める気はまるでなく、時々みせつけられる他人の態度に確信させられてしまう自分がイヤだった。
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