天使 × 真琴-2

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それから数時間後 眼鏡フロアーをクローズし 只今、喫茶でバーをしてる。 そして目の前には‥‥ 「天音ぇ~‥‥。ぅぅ‥‥」 今日、休みで病院に見舞いに行った健太が帰りに寄っていた。 「健太さん‥‥呑み過ぎじゃない?」 「呑ませて‥真琴さん‥」 温泉で女だと知って以降 『君』から『さん』にモデルチェンジ。 「‥‥どーすりゃいーのかな? 健気で‥‥辛い筈なのに、俺の心配とかするし‥‥」 目を真っ赤にさせながら泣いて お酒を煽る健太を 言葉以上に誰も止めようとはしなかった。 真琴はそんな荒れた健太の正面に座り諭すように話し掛ける。 「天音ちゃんを信じなくて どーすんの? 私達が天音ちゃんにしてあげられる事って‥‥なんだろね?」 「‥‥‥‥」 無言で俯いたまま呆然としている健太の頭を撫でながら 「健太さん、頑張ってるよ。 ‥‥偉いよ? だから‥‥もう少し出来るんじゃない?」 俺はカウンターに座りながら そんな真琴の言葉を聞いて考える。 (‥‥俺に出来る事って ‥‥なんだろ‥‥ 俺は天音の頑張りに 対する程、やれてんのか? もっと、何か出来んじゃねーの?) もう直ぐ梅雨が明ける 蒸し暑さの中 スッキリしないのは 気候だけで無く 心の中も晴れない。 だけど、季節は巡る。 「待ってくれ」と哀願しても 移り変わる季節と共に 迫り来る期限との戦いが 俺達を締め付けた。 ,
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