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眼鏡を拭く手が止まり
視線を背らさず
ジッと見つめ合う。
ってか、俺的に睨んでる。
でも若菜の視線は違うモンを醸し出していた。
獲物を今からどう料理するか‥‥
美味しい食材を前にした獸のような眼。
「俺を‥‥そんな眼で見ていーのは
真琴だけだ」
一歩後退しながら視線を背らさない若菜。
「あー。真琴からそんな視線を向けられてみてーよなぁ~。
狙われてる感?
アイツにそんなんされたら
逆に間違いなく、喰っちまうけど」
ニッと笑いおどけながら言った。
若菜は悔しそうに下唇を噛みながら、俺を見詰め続ける。
「若菜。そのキャラ止めろ。
親友としての忠告だ」
綺麗になった眼鏡をまたクロスに包みながら言うと
両頬をバシっと挟まれた。
「ぁあ′′!?」眼鏡から視線をそっちに向いた瞬間
唇肌にぶつかる柔らかい感覚。
しかも丁度、口を開けてたもんだから
そっからヌメッてしたモンが入ってくる。
時間にして、一瞬だった。
でも俺的に衝撃的過ぎて長く感じた。
「僕は絶対諦めない。
ずっと待ってたんだ。
男と寝れるなら、僕とも寝ろよ」
「‥‥違」
「何が違うんだ?
まさか彼が女だとでも言うのかい?」
「‥‥‥」
「この前も言ったけど、僕は男との経験無いよ。
男だからシたいわけじゃない。
天使だからシたいんだ」
絶句して眉間にシワを寄せながら
若菜の話を黙って聞いた。
ここで真琴が女なんて言ったら
それこそコイツ‥‥何するか分かったもんじゃねー。
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