ALL Member

15/36
前へ
/36ページ
次へ
「僕はここで‥‥ 初めての失恋をしたんだ」 テーブルを挟み対面に座っていた琉生は、ビールを片手に梓の横へ移動しながら話し続ける。 「アズが同級生に告白されて‥‥ 付き合う事になった‥‥ ほら、初めての彼氏。 覚えてる? 木陰からその一部始終を 実は聞いてたんだよ」 膝の上に置かれた手を両手で握り、優しく撫でられ胸がキュンとなり切なくなる梓。 「しょうがないって‥‥ そう思った。 僕なんて‥‥ 後ろからくっ付いて行くだけで精一杯で‥‥ 告白なんかして‥‥ アズに拒絶されたら‥‥ ‥‥生きていけないから 笑っちゃうくらい 僕って、情けないでしょ?」 自傷気味に口端を上げながら、俯き 呟くように告白する琉生に掛ける言葉が出てこない。 琉生はフッと顔を上げて彼女の顔を見詰めながら、フワリと微笑んだ。 「それから彼氏が出来る度に落ち込んだけど でも、その誰よりも 僕の方がアズを好きだって 自信があったんだ。 だから、アズに彼氏が出来ようが 僕自身はずっと変わらなかった」 ,
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加