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「僕はここで‥‥
初めての失恋をしたんだ」
テーブルを挟み対面に座っていた琉生は、ビールを片手に梓の横へ移動しながら話し続ける。
「アズが同級生に告白されて‥‥
付き合う事になった‥‥
ほら、初めての彼氏。
覚えてる?
木陰からその一部始終を
実は聞いてたんだよ」
膝の上に置かれた手を両手で握り、優しく撫でられ胸がキュンとなり切なくなる梓。
「しょうがないって‥‥
そう思った。
僕なんて‥‥
後ろからくっ付いて行くだけで精一杯で‥‥
告白なんかして‥‥
アズに拒絶されたら‥‥
‥‥生きていけないから
笑っちゃうくらい
僕って、情けないでしょ?」
自傷気味に口端を上げながら、俯き
呟くように告白する琉生に掛ける言葉が出てこない。
琉生はフッと顔を上げて彼女の顔を見詰めながら、フワリと微笑んだ。
「それから彼氏が出来る度に落ち込んだけど
でも、その誰よりも
僕の方がアズを好きだって
自信があったんだ。
だから、アズに彼氏が出来ようが
僕自身はずっと変わらなかった」
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