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別にどうだって良いじゃねーかアイツらの恋愛事情とか、一方通行の片想いな関係とか。
実際、傍から見てるだけでもいい迷惑だし。
あいつらが転入生に構うせいで周囲が煩くて、学園生活も落ち着かないし。
でも……あいつらが生まれつき美形で生徒会で親衛隊持ちなのは、別に本人が悪い訳じゃ無い、んだよ、な?
それに過程はどうあれ(いや、言い方もちょっと何だが)
「ちゃんと他人を思いやることも、出来るんじゃねーか」
ただの愉快犯的な、童顔・幼稚バカじゃなかったんだな。
あとはまあ、腐っても
「さすがに一応は、兄貴ってことか」
去って行く双子の片割れに抱いた、率直な感想を口にする。
もちろん単なる勘だけどね。何か面倒見が良さそうだったし?
でもまさか、聞こえる筈の無い俺の呟きが相手に届き
(え? 今、僕のこと兄貴って言った? 嘘。もしかしてアザラシ君、僕がお兄ちゃんだって分かったの。でも、まさか……?)
双子が去った後で
「大丈夫か」
「着替え用のテントまで肩を貸しましょうか?」
と声をかけて来た風紀委員長と不運な平凡くんに引っ張り起こされる俺を、双子の片割れが見つめていたなんて。
――この時の俺が気付くわけ無いだろ。
疲れてたんだから仕方ねーよ、うん。
ま、そんな苦い体育祭の思い出っつーことで。
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