平凡な３６５日

【回想４】学園祭とクラス展示

体育祭の次は、学園祭だ。

正確に言うと間にハロウィンパーティーもあったのだが、欠席した俺に思い出なんて無い。
あ、面倒臭くてズル休みした訳じゃないよ？
たまたまその日は高熱出して寝込んでた訳だし。
昔から俺は時々、原因不明の熱を出すことがあるのだ。特に疲れやストレスがたまったりするとぶっ倒れ易い。
子供の頃に診察してくれた医者も首を傾げていたし、まぁそういう体質なんだと思って諦めるしかない。

それはともかく。
噂じゃ例の転入生が魔女だが猫娘だかに仮装して、生徒会含む人気者（美形）達とおおっぴらにイチャついてたとか逆に逃げ回っていたとか。……うん、別にどっちでもいいわ。

ああ、そういや不運な平凡くんはいつの間にか風紀と生徒会両方の補佐にされてたらしいんだけど。
流石にそれは問題があるとかでハロウィンパーティーの最中、わざわざ風紀委員長自らが「風紀側だけの補佐とする」ことを全校生徒の前で正式発表。
転入生は反対したが、他の生徒会役員はすんなり了承。会長に至っては快諾だった上に、転入生の説得までしたらしい。

この件については事前に会長と委員長が話し合って決めたという噂もあるし、多分何らかの裏取引があったんだろう。
とりあえず不運な平凡くんにとっては良かったんじゃないか？　後は不運の原因そのもの自体が消えてくれれば万々歳なんだけど。

そんな訳で、十一月は学園祭の思い出だ。

学園祭と聞いて普通は何を思い浮かべるだろうか。
各クラスの出し物決めで人気のお化け屋敷、受け狙いの女装（メイド）喫茶や屋台、バンド演奏・カラオケ大会・演劇、各部活の作品展示、等々。
普通なら皆でわいわい協力しあって楽しく盛り上がる、それが学園祭というものらしい。

だが、隣のＡクラスで執事＆メイド喫茶をやると決まった瞬間、俺らのクラスは無言でその盛り上がりを断念した。
何故なら……考えてもみろ、まず転入生がメイド役をするのは目に見えている。
もし本人が嫌がったとしても生徒会からの圧力や様々な思惑と打算で、Ａクラスの奴らが強要する筈だからな。

ちなみに来客者による人気アンケート各学年一位のクラスは、毎年理事長から豪華なご褒美を貰えるそうだ。

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