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クラス委員がちゃんと撮影者の名前一覧も作ってあるし、それを見れば誰にでもすぐ分かる仕組みだ。
まったく余計なモン作りやがって。
ただ本能的に、こいつにだけは俺が撮影者だと知られたくない。理由は分からないが。
――ガラッ
「ごめんね、ちょっと遅れちゃったー……って、か、会計さま!?」
「あ」
「うん?」
ようやく三人目のクラス当番がご到着。
でもってやっぱいきなり教室に生徒会の奴がいたら驚くよな。
しかしお前、ちょっと遅れたどころか残り十分しか無いぞ。
「ねえ君、このクラスの人?」
「え? あ、はいッそそそうです!」
顔を真っ赤にしてチャラ男会計の問い掛けに何度も頷く。
その過剰な反応具合。
絶対に親衛隊員だな、こいつ。
「じゃあさ~この写真、誰が撮ったか知ってる?」
「え?」
「いやー何かさぁ気に入っちゃったんだよね。んで、撮影した本人とも会ってみたいなぁとか思うんだけど。知らない?」
笑顔の会計とその背後にある写真を、交互に見つめる親衛隊らしきクラスメート。
くそっ、絶対バラすなよ!?
「……あ、あの実はそれ、僕が撮った写真なんですッ」
「え、ホント? うわー凄い偶然だねぇ。じゃあ君この後さ、時間あるかな。俺と少しお喋りとか、学園祭まわりながらでもどう?」
「えっ!? は、はい! よよ喜んでッ」
湯気が出そうなくらいに頬を染め、くねくねと恥じらうクラスメート。
その腰に腕をまわし、身体を密着させた笑顔のチャラ男会計。
えーと、うん。
まあ別にいいか。むしろグッジョブ。
役に立つこともあるんだな、親衛隊。
何にでも意外な使い道ってもんがあると分かって良かった良かった。(※棒読み)
それから購入予約を済ませた二人は仲良く教室を出て行き……。
入れ違いに戻ったもう一人のクラスメート(近くのトイレが混んでた為に別の階まで行き、帰りが遅くなったそうである)と俺は、残り時間を真面目に受付係として過ごしたのだった。
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