平凡な３６５日

【回想５】学園祭と親衛隊

学園祭の思い出だが、実はもう少しあったりする。

チャラ男会計とクラスメート（親衛隊？）が消え受付係の仕事からも解放された俺は、のんびり校内をうろつく予定だった。
そんなわけで先ずはトイレに寄って――。

『あの平凡、そろそろ本気で懲らしめといた方が良くない？　目障り過ぎるんだけど』

『転入生に取り入って生徒会の皆様に近付いてたくせに。今度は風紀委員長さまに媚び売るとか、一体何なの！？』

『もぉ本当ムカつく……ねぇ、今から呼び出してヤっちゃう？』

トイレの扉に手をかけたところで、中から漏れ聞こえる不穏な会話。

察するに、例の不運な平凡くんへの謂われない誹謗と悪巧みってとこか。んで、多分こいつら生徒会あたりの親衛隊かな。

というか、そろそろ本気って。
お前らずーっと本気で平凡くんに嫌がらせやら虐めやらを繰り返していたじゃねーか。
「転入生に取り入って」だの「風紀委員長さまに媚び売る」とか、おいおい。目ん玉ちゃんと見えてるか？
まさか腐ってたりしないよな。

この場合のヤるは「殺る」かそれとも「犯る」なのか。何にせよ、平凡くんだって親衛隊からの呼び出しにはそう簡単に応じないだろ。今まで飽きるほど呼び出されては酷い目に遭ったわけだし。
まあ、最近は風紀委員長の威光か愛の力か知らないけど嫌がらせの数も減り、安心していたのだが。

『どーせ風紀委員長さまのお名前を使えばあっさり来るんじゃない？　アイツ馬鹿っぽいし』

『あはは、どうせなら終わった後でこれは風紀委員長さまに頼まれたことだから、とか言っとけば信じたりして』

『委員長さまにご迷惑をかけたくなかったら黙っててね、とか頼んだら僕達のことも言わないでしょ。あ、もちろん脅し用の写真も撮るけど？』

……ダメだ、そこは俺も否定出来ない。
平凡くんなら普通に行きそう。
ついでに絶対信じそう。
それよりこいつら意外と悪知恵の働く親衛隊だな。その能力をもっと他に使えば良いのに勿体ない。
いや、言うだけ無駄か。

『風紀委員長さまだって本当は顔も見たくない筈だし。僕達が代わりに排除して差し上げるべきだよね！』

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