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問題は、学園の外での俺だ。
言っとくが学園内で俺の素顔は(数人を除いて)誰にも知られてはいない。勿論、寮の同室者にすらだ。
簡単に言うと俺の素顔、容姿は――気味が悪い。
髪色は白に近い銀、瞳は金と赤紫のいわゆるオッドアイ。
アルビノ(白子)って訳ではないみたいだが、肌も無駄に白くて太陽には弱いしで。
正直、自分でも気持ちが悪いんだ。両親は普通なのに何で俺だけ……って。まだ幼い頃は髪も眼も一応薄い茶色だったらしいのに、それが成長するに従ってこんな風になっちまって。
おかげで小学生の頃は同級生達によく虐められたっけ。親にも疎まれてたし。
中学に入る頃にはそりゃ荒れたね。
色々と無茶苦茶なことばっかやらかして、毎日ケンカと夜遊び三昧?
うん、あんま覚えてねーや。
昔の事なんかどうでもいいんだよ。つまんないからさ本当に。
ともかく学園での俺は、髪を黒く染め、黒のカラコンと伊達眼鏡に長めの前髪。
決して目立たない真面目で平凡な普通の一般生徒なんだ、と理解してくれれば良い。
……逆にその姿を地元の遊び(喧嘩)仲間に知られるのはマズイっつーか何か恥ずかしいんで、家に戻った時は即、素のカッコに戻すんだけど。
あ、でもあの時は少し危なかったな。
補習が終わり久々の地元で早速ストレス解消にと喧嘩してたら、街でばったり転入生と学園でも有名な不良くんに遭遇しちゃって。
俺が殴り倒した奴ら
「総長!」「副総長も!」とか叫んでたし。
アイツら族やってたのか。もっと早く知ってたらマジで月の無い夜に背後から暗殺……もとい、せいぜい長期入院程度に殴り倒しとくんだった。クソッ。
俺を見て不良くんが、当たったら威力凄まじーっぽい蹴りをかまして来やがった。
けど当然そんなん避けるだろ。
「……チッ」
「あ、あいつ、副総長の蹴りをかわしやがった!?」
「おおっ! スゲーなお前、名前なんて言うんだ?」
たかが蹴りの一つを避けたくらいで、瞳を輝かせる転入生。ざわつく周囲の奴ら。
本能的にマズイと感じた俺は出来るだけ顔を見られないよう(いやまあ、既に殴り倒した相手には多分見られてると思うけど)俯きながら、脱兎の如く逃げ出した。
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