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【回想2】不運な平凡くんと風紀委員長
二学期はイベントが目白押しだった気がする。いや、あんま覚えてねーけど。
えーと確か、体育祭と学園祭と生徒会主催のハロウィンパーティーとクリスマスダンスパーティーがあったっけ?
いくらなんでも多過ぎだろ。
転入生にいいとこ見せたくて会長が強行したとか、ただ転入生とイチャつきたかったらしいだとか、珍しく批判めいた噂も流れていたな。
理由はともかくそれに付き合わされる一般生徒の気持ち、を考えるだけの脳ミソは最初っから無いのか。
まあ、バ会長とその愉快な仲間達だもんな。
俺は自分の平々凡々な高校生活を邪魔されなきゃどーでも良いし。どうせ苦労するのは生徒会の奴ら本人だろ。
つーか、んなスケジュールびっちりで準備とか間に合うのか?
と思ってたら案の定、人手不足で大変だったらしい。最初に気付けよバカが。
そこで駆り出されたのが何故か風紀委員。
「なぜ貴様らの仕事を我々が肩代わりする必要があるんだ」
「あー? 暇そうなお前らを俺様が使ってやるってんだよ。有り難くこき使われやがれ」
「ふざけるな貴様! 誰のせいで風紀委員が今、必死に動いてると思っているんだ!?」
「んなの知るか、せーぜー俺様の役に立っとけよ!」
元々仲の悪い風紀委員長と生徒会バ会長。
おかげでその二人が怒鳴りあい胸倉をつかみ合う場面が、度々目撃されるようになった。
……うぜえ。
俺はなるべく近寄らないようにしてたけど、ある日たまたま運悪く通り掛かったことがあったっけ。
***
糞が。よりによって渡り廊下の真ん中で騒ぎやがって。移動教室(次の授業)に間に合わなくなるだろ、さっさと終わらせて散れ!
ギャラリーに紛れて睨み付けたその日。
視線の先には、委員長とバ会長の他に転入生と生徒会副会長、風紀委員の数人。
それとやけに平凡な、小さめの生徒も一緒だった。
ああ、そういや噂で聞いたな。
初対面の転入生にいきなり「親友」扱いされ、無理やり連れ回されたあげく、生徒会の奴らに守られてる転入生の代わりに親衛隊からの嫌がらせを一身に受けちゃってる不運な平凡くん……の話。
生徒会の仕事が忙しく人手不足を理由に、転入生と一緒に「役員補佐」に任命されたんだよな。
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