第2章

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「お久しぶりですね。遠藤さん」 偽物の笑顔を振り撒き、ソファに座る男性の横に寄り添う用にそっと座る 「シオンちゃん~会いたかったよ」 だらし無い笑顔を浮かべた男が、当然と言わんばかりに手を握って来る 私が夜の世界に入って、もう5年… さすがにこんな状況にも慣れた 慣れたとは言え、気持ちがいいものでもないので グラスを渡し、グラスと私の手を入れ替える 「久しぶりなので、乾杯しましょう」 誰にも見抜けない偽物の笑顔でグラスを傾ける 私の心と裏腹に、グラスの琥珀色した高級な酒が揺れる しばらくすると、ボーイが耳打ちしてくる 「シオンさん。オーナーがお呼びです」 その言葉に、私はわざとちょっと驚いた様な困った様な表情を作る そしてつくづく思う 女って恐ろしい生き物だ こんなにも上手に演技ができるのだから 私は、常連のお客に 「ごめんなさい。ちょっと席外しますね…」 っと申し訳なさそうに… ちょっと未練がある風に装って席を立つ (さて、オーナー呼出しとは…。職員室に呼び出される、生徒の気持ちもする) 簡単に言うと <メンドクセェ!!>
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