ある魔導師の猫再び曰わく

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当方は猫なのです。 名前ももうあります、クロです。 ちなみに毛は真っ白です。 私にクロという名前をくれたマスターは、クロムハーツさんと言います。 マスターは元国家魔導師で、とびきり強い上にとびきりかっこいいのです。 そりゃもちろん飼い猫の欲目はあるかもしれませんがそれを抜いたってとびきりかっこいいのです。 さらさらの黒髪はいつでもきらきらしてますし、鋭い赤い瞳にすっと通った鼻筋はなんだか人形を思わせます。 手足は長いしスタイルは良いし、神様が溺愛したって感じの人です。 性格だって良いんですよ、私が太鼓判押します。 それに、ただ綺麗なだけじゃなくてふと見せる表情に思わず魅せられる、マスターはそんな人なのです。 たしかに、一部の人には鬼だとか悪魔だとか魔王だとか極悪だとか言われていましがそんなことを信じてはだめなのです。 やっかみですやっかみ、根も葉もない嘘なのです。 実際はそんなことぜんぜんないんですよ。 勿論悪い人には容赦はありませんが、別に意地悪な訳じゃないんです。 マスターのお友達のラスクさんは、あれはドSなんだよー…なんておっしゃってますが、でもいつだってすり寄ればふわりと優しく笑ってくれる私の大好きなマスターなんです。 基本的にのんびりと暮らしている私とマスターですが、ついこの間は素人さんに麻酔なしの手術に踏み切られそうになったりと大騒ぎでした。 …あんな経験は二度とごめんです。 痛い事って体に悪いです。 それで私、思うんです。 私はマスターのことがとびっきり大好きですが、マスターにご迷惑をおかけしているようでは大好きがきっと足りていません。 いざという時にはマスターのことをお守りできるような懐刀のようなハイスペック猫にならなければならないのです。 しかも早急に。 そう、事態は急を要します。
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