ある魔導師の猫再び曰わく

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マスターはこれでも有名な魔導師ですから、たいていの場合、マスターはお仕事を好きに選ぶことが出来ます。 なのでマスターは利に合わない仕事や面倒な(マスター談)仕事はズバッとお断りしてしまうのですが今回はそうもいかないらしいのです。 今回マスターに“お願い”された仕事はなんとこの“国”からのものなのだそうです。 そう、王様命令なのです。 内容はまだ知りませんが、そのお仕事のためには王宮でしばらく住み込みで居なきゃだそうなんです。 なんでも今回出向く王宮魔導局というのはマスターがグレる(ラスクさん談)きっかけになった場所だそうなのです。 これはいけません。 なにしろマスターはとっても強くてとってもかっこよくてとっても素敵なので意地悪する人も多いのです。 それに王宮ですから綺麗なお姉さんもたくさん居ます。 これはいけません! …いえ、綺麗なお姉さんがいけないんじゃないですよ。 ぜんぜんいけなくないですよ。 でも綺麗なお姉さんでマスターに意地悪する人も居るかもしれないじゃないですか。 …綺麗なのがいけないんじゃないですよ。 それにマスターはとっても優しい人なのできっと意地悪されたって悲しむばっかりに違いありません。 私、マスターに悲しい思いをしてほしくないんです。 私、マスターに笑っていてほしいんですよ。 なので大急ぎでどんな悪い人もやっつけられるとびっきり強いハイスペック猫にならなきゃいけないんです。 「…クロ?」 私に出来るのはマスターからいただいたとってもハイスペックなリボンを使って暗躍することだけですからね、ならば私が目指すべきは忍者ねこだと思うんです。 マスターの懐刀、…良い響きです。 マスターマスター、見ていてくださいね。 私、マスターのことをお守りして見せますから! 「うにゃあ!」 「…どうした、なんか気合いはいってんな。」 私、マスターのことが大好きなんですよ!
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