ある猫の暗?躍

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きらきら、きらきら、目に入る物はどれもぴかぴかと磨かれていて目に眩しくて。 足下の赤い絨毯はふかふかで私の足はさくっと爪が隠れるくらい埋まってしまいます。 あっちこっちをゆっくりと歩いてゆく人々はみんな格好付けたようないかめしい顔をしていていますが、なにがそんなにつまらないんでしょう。 途中で通り過ぎた大きな広間には綺麗なドレスを着たお姉さん達がたくさんいましたが、今マスターと居る場所にいるのは似たような格好をした男の人ばかりです。 きっとここが魔導局なんでしょうね。 私、王宮、なう! 世界の中心で叫びたい気分です。 *** 私がマスターと暮らしはじめてからもう二年くらい経ってますが、実は私、王宮には一度も行ったことがないんですよね。 マスターのお仕事について行くのはしょっちゅうなんですが王宮でのお仕事は無かったんです。 ですからね、やっぱり大感動です。 マスターマスター、すごいですよシャンデリアです! 生まれて初めて見ました! 「にゃーあ!」 「…何だ、気に入ったのか?」 マスターはしばらく王宮仕えなのだそうです。 しばらくここで暮らせるとあって私もとってもわくわくしています。 シャンデリアになんだかふわふわしたカーテン、真っ白の机はやっぱりですね、ロマンですよ! 与えられたら個室は多分お城の客間に当たるんでしょうが、随分と豪華です。 ベッドももっふもふですよ、マスター。 「…お前が喜ぶなら嫌な仕事も受けた甲斐があったな。」 「にー?」 「中央は使えない魔導師ばかり、当分事務作業だな。つまらん。」 あ、知ってますよマスター マスターは以前国家魔導師として働いていたんですよね。 でもマスターをやっかむ人が多くていらっとして辞めちゃったんですよね。 そしたら中央が立ち行かなくなっちゃったんですよね、それでマスターが呼ばれたんです。 「…にゃあ!!」 「…クロ?」 大丈夫ですよマスター、今回は私が居ますからね。 マスターに意地悪する人が居たら私がひっかいてやります。 そんな思いを込めて常日頃から研いでいる爪を見せれば、ようやくマスターは笑ってくれました。 「…出来るだけ顔を狙ってやれ。」 「うにゃあ!」 了解ですマスター!
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