†混迷†

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漸く辿り着いた組織への入り口。 一見、 隠れ家的な洒落たバーへの 扉を開けると……、 一斉に見馴れぬ者に対する 好奇の眼が向けられた。 馴染み深い メンバーでもある筈の彼を 仲間と認識していない視線。 イヤ、 それどころか 突然、息を乱して現れた彼…、 少年の姿に 容易く声を掛けるべきか 戸惑う空気さえあった。 「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ……、」 『それもそうだ……、』 両膝に両手を着き、 前屈みに成りながら 乱れた息を整えつつ 自嘲の呟きが脳裏を過る。 『誰も僕が誰だか判る訳なんてない』 零れる諦めに近い、 悟りの言葉。 しかし、 「え……と、東雲さん?」 ポツリ―と、 戸惑いを宿しながら、 確信を持って彼を呼ぶ声。 その声に…、 「貴女ですかッ!!僕をこんなにしたのはッ!!」 彼こと、 東雲八雲は 明確な確信を持って叫んだ。
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