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暗い雑居ビルの隙間を
小柄な影が疾走する。
「ハッ!…、ハッ!…、ハッ!……ハッ……」
黒のパーカーに
7分丈のジーンズ。
やや大き目で
サイズのあっていない
スニーカー。
雑然とした黒の無機質な群衆の
隙間を、
一人の少年の姿が
必死に駆け抜ける。
良く良く見れば、
黒のパーカーもジーンズも
身に付けているもの全てが
不似合いなサイズをしていた。
「ッハ…なん……でッ!」
ゼイ息の狭間に零れる問い掛け。
「何でッ!……ッ……ハッ……何でだッ!?」
叫ぶように吐き捨てられる
答えの返らぬ問い。
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